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2016−2017アルペンスキーワールドカップ男子回転第4戦は日本時間5日〜6日の深夜に行なわれ、午前3時頃終了しました。眠い目をこすってJ-SPORTSで生放送で見られた方も多いかと思いますが、私は録画で朝4時半から見るので精一杯でした・・・(泣)

結果から言うと湯浅直樹選手は3戦連続のW杯ポイント獲得の18位。一桁順位は無理でしたが、確実にW杯ポイントを獲得しており、SLランクは現在12位まで来ています。(詳しくはこちら)同じく日本製のスキー板「ハート」を履く河野恭介選手は1本目失敗したもののコースに入り、再び転倒で1本目途中棄権しました。途中まで良い滑りだっただけに、もったいない1本でした。ただ、スラロームは1回のミスが命取りの種目なので、次に生かして欲しいなと思います。また、韓国のチョン ドン ヒョン選手はアジア勢では最高の14位を記録。通算2回目のW杯ポイント獲得です。優勝はマンフレッド・メルグ。実に2009年以来、8年ぶりの優勝でした。

2017ザグレブSLはどういった選手が有利だったか。

1本目と2本目に分けて書いてみたいと思います。

1本目のセットはレースを面白くするセット。ヒルシャー、クリストファーセン潰し?

1本目はスピードセットでした。ポールセッターはアメリカのI. LOOKED氏。膝の柔らかい選手がここ数年上位を占める中、久々に10年前の日本勢全盛期のセットに近いというか、わりと真っすぐ目でオープンなセットが立ったように思います。こういったシンプルなセットになってくると僅差のレースになり、後方ゼッケンからでも上位に食い込みやすいレース展開になりやすいです。

滑りのスタイルはどちらかというと、

・真っすぐなセットが得意な選手
・掘れにくいのでガンガン攻めてくる選手
・外足に乗る傾向が強い選手(または滑りのスタイルを切り替えることのできる選手)

が上位に来る傾向があります。

結果、1本目は1秒以内に17人が入るという大混戦に。この中には1本目45番スタートのマーク・エンゲル(アメリカ)が3位に飛び込むなど、アメリカ人セッターの戦略?は大当たりとなりました。逆にこういったセットになると、ヒルシャーやクリストファーセンのような高い技術力を持った選手は、スピード勝負に持ち込まれるため、なかなか持ち前のテクニックを発揮できなかったのではないかと思います。

また、1本目の62番スタートには一時引退の情報が流れたイビツァ・コステリッチが登場するなど、ザグレブの会場は大いに盛り上がりました。ちなみにコステリッチは複合または高速系でのピョンチャンオリンピック出場を視野に入れており、今季はノルアムカップ、ワールドカップはサンタカテリーナの複合にエントリー。リザルトは38位という結果でした。高速系が伸びてくれば、10番台も視野に入ってくるのではないかと思われます。

1本目の序盤は雪の影響も有り、こういった自然環境になった場合10番〜25番が好条件になってくるので、必ずしも第1シードが有利というわけではないので、皆さんのレースのときも頭に入れておくと良いかと思います。

2本目は強風と地吹雪に。タイム差も心理的な影響を与え、波乱の展開に。

1本目は1秒以内に17人というリザルト。しかも強風でレフリーが途中レースを止めるなど、波乱の展開となりました。また1本目とは違い、風で雪が付かなく、氷のようないつものワールドカップバーンに戻ったので、これもかなり影響していたのではないかと思われます。

クリストファーセンやヒルシャーだけでなく、日本・韓国を含む全選手に優勝のチャンスがあるため、表彰台の常連選手達には大きなプレッシャーになったかと思います。結果、1本目21番からラップのマニュエル・フェラー(オーストリア)は2旗門目で片足通過反則。他の選手達もスタート直後に途中棄権となるなど、インコースギリギリを通る戦いとなりました。

SLスペシャリストのヘンリック・クリストファーセンもかなり焦っていたのか、前半はギリギリのラインで真っすぐな滑りでしたが、それが後半のミスになり、リスクを追いすぎた結果後半失速しています。(それでも3位でしたが・・・汗)また、ヒルシャーは6位まで沈み、優勝したのはイタリアのベテラン、マンフレッド・メルグでした。2009年2月1日のガルミッシュ・パルテンキルヘン以来の優勝ということもあり、長年第1シードにいながら、8年近く勝てなかったので長い道のりだったのではないかと思います。この勢いでクラシックレース、世界選手権、オリンピックにつなげていけるか注目です。

まとめ

今回のレースは普段見れない、むしろスキーの基本技術を見るには最適なレースだったのではないかと思います。上半身はフォールラインに向け、ターンはたわみを生かして、遠心力をエネルギーに換え、板をずらさない。頭も動かさない。しかも緩斜面はこれを連続運動でできるかどうかが問われるので、基本技術のある選手であれば誰でも上位に来る面白いポールセットだったのではないかと思います。

今後はクラシックレースになるので、またクリストファーセン、ヒルシャーの2強に戻るとは思いますが、ザグレブの斜面は割と日本に近い環境のゲレンデなので、アジア勢にも有利に働いたのではないかと思います。こういったセット、斜面になると以下のようなリザルトになるので、1つの参考になるかと思います。

リザルト

1 MOELGG Manfred 1982 ITA 58.52 1:01.51 2:00.03 0.00 100.00
2 NEUREUTHER Felix 1984 GER 58.65 1:02.10 2:00.75 +0.72 4.32 80.00
3 KRISTOFFERSEN Henrik 1994 NOR 58.54 1:02.26 2:00.80 +0.77 4.62 60.00
4 YULE Daniel 1993 SUI 58.54 1:02.48 2:01.02 +0.99 5.94 50.00
5 MATT Michael 1993 AUT 58.80 1:02.54 2:01.34 +1.31 7.86 45.00
6 HIRSCHER Marcel 1989 AUT 58.51 1:02.95 2:01.46 +1.43 8.58 40.00
7 RYDING Dave 1986 GBR 59.05 1:02.53 2:01.58 +1.55 9.30 36.00
8 AERNI Luca 1993 SUI 58.91 1:02.81 2:01.72 +1.69 10.14 32.00
9 LIZEROUX Julien 1979 FRA 58.18 1:03.73 2:01.91 +1.88 11.28 29.00
10 GROSS Stefano 1986 ITA 59.41 1:02.68 2:02.09 +2.06 12.36 26.00
11 FOSS-SOLEVAAG Sebastian 1991 NOR 59.39 1:02.95 2:02.34 +2.31 13.86 24.00
12 MYHRER Andre 1983 SWE 59.43 1:03.03 2:02.46 +2.43 14.58 22.00
13 READ Erik 1991 CAN 59.28 1:03.21 2:02.49 +2.46 14.76 20.00
14 JUNG Dong-hyun 1988 KOR 59.12 1:03.50 2:02.62 +2.59 15.54 18.00
15 NORDBOTTEN Jonathan 1989 NOR 59.55 1:03.10 2:02.65 +2.62 15.72 16.00
16 CHODOUNSKY David 1984 USA 59.00 1:03.71 2:02.71 +2.68 16.08 15.00
17 TONETTI Riccardo 1989 ITA 59.67 1:03.05 2:02.72 +2.69 16.14 14.00
18 YUASA Naoki 1983 JPN 59.02 1:03.74 2:02.76 +2.73 16.38 13.00
19 HOLZMANN Sebastian 1993 GER 59.60 1:03.25 2:02.85 +2.82 16.92 12.00
20 ROCHAT Marc 1992 SUI 59.37 1:03.61 2:02.98 +2.95 17.70 11.00
21 STRASSER Linus 1992 GER 59.48 1:03.85 2:03.33 +3.30 19.80 10.00
22 ZAMPA Adam 1990 SVK 59.12 1:04.32 2:03.44 +3.41 20.45 9.00